目の前の男が言っている言葉の意味がよく分からなかった。言葉の意味をそのまま受け取るならば、こちらの世界へ俺や泉がやってくることになった原因を作ったのが自分だと言っている事になる。 でまかせにしては突拍子が無さ過ぎるし、本当の事だとしたら尚更訳が分からない……。
「君達の所属するトラベラーズガーディアンにリサ・スティーブンスという女性がいるのを知っているかい?20台半ばのとても綺麗な子なんだが、彼女も私の仲間なんだ。君達の仲間の仲間という事は、敵ではないだろう?」
男の口から出た単語に俺は再び言葉を失った。
確かに先ほどの女性との会話の中に「リサ」という名前は何度か登場していたし、そのこといついて聞いてみようとも思ってはいた。だがそれが俺達のよく知るリサさんの事だとは思っていなかったのが偽らざる思いだった。
「どうしてあなたがリサ姐の事知ってるの?リサ姐は今どこにいるの?無事なの?」
俺よりも先に声を上げたのはミレイだった。
「その様子だと彼女の事を知っているようだね。これで分かってもらえたかい?」
「そんな事聞いてない!リサ姐は無事なの?」
今までにないような強い口調で話すミレイ。
「心配ないよ、彼女は無事だ。今は安全な場所にいるよ」
境の言葉にミレイはほんの少しだけ安心したような表情を見せた。
「さっき一緒にいた女の人との話だと、リサさんをかばった男が怪我をしていると言っていましたよね。その男は恐らく俺の知り合いなんです。彼は無事なんですか?リサさんと一緒なんですか?だとしたら一体どこに?」
目の前の男が言っている事が真実なのかどうかは分からない。だが彼が言っている事が本当なのであればリサさんが、そして謙太郎が今どこでどうしているのかが分かるかもしれない。泉と連絡が取れない。あづさちゃんや開発室の人達もいなくなり、司令からの連絡も無い。その状況が自然と俺自身の言葉の語気を強めた。
「リサ君をかばって男が怪我をしたというのは事実だよ。その彼もリサ君も同じ場所にいるはずだ。だが残念ながら私はその彼を知らない、つまり彼が君の知り合いなのかは分からない。そしてリサ君がどこにいるのかを教える事はできない……」
「どうして?どうしてリサ姐のこと教えてくれないの?皆心配しているんだよ。わたしだって……」
ミレイの必死の訴えに境は少し複雑な表情を見せる。
「それは君たちがトラベラーズガーディアンの人間だからだよ。あの組織に私達の情報を漏らすわけにはいかないんだ。悪く思わないでくれ」
「何を言っているの?リサ姐だってトラベラーズガーディアンなんだよ?わたし達の仲間なんだよ?おじさんはあの黒い服の人達の仲間なんでしょ?言っていることメチャクチャだよ!」
ミレイの声が一際大きくなる。
(その通りだ、リサさんは俺達トラベラーズガーディアンの仲間だ。それがリサさんに会わせられない理由なはずがない。それに今の言い方だとまるで……)
ミレイの方を見て少し黙っていた境が俺達の方を見据えて口を開く。
「1つ聞きたい。君達はあの組織でリサ君と共に行動していたのかい?」
「質問に答えて!」
今にも境に掴みかかりそうなミレイの肩を押さえて俺は答えた。
「そうです、俺達はリサさんと同じチームで共に行動していた。色々な任務を皆で力を合わせてこなしてきた。だからこそリサさんは俺達の大切な仲間なんだ。あなたの都合なんて知ったことじゃない!」
続く
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