「その服装、トラベラーズガーディアンの制服だね。そちらのお嬢さんは随分と若いようだけれど君もそうなのかい?」
2人を前に境は変わらぬ口調で語りかける。その顔には僅かな笑みが浮かんでいる。口を閉ざしたままの俺達を見て更に続ける。
「随分と警戒されているみたいだね、まぁ無理もないか。君達も上からの命令でここの調査に来たのだろう?部外者である私との接触は好ましくは無いだろうからね。余計なトラブルが無いように先に言っておくが私は君達の敵でも味方でもない。私は……」
「嘘よ!」
境の言葉を遮ってミレイが叫ぶ。
「さっきあの黒い服の女の人と話していたじゃない。あの人達の仲間って事はわたし達の敵だよ!」
そう、俺達の基地であるSBT1はあの黒服の連中によって大きな被害を受けたのだ。その連中の仲間と親しげに喋っていた男に「敵ではない」と言われても信じる事などできない。
だが、先ほどの女との会話の途中でいくつか気になる事があった。俺はいきり立つミレイを抑えて冷静に言葉を並べた。
「あなたが敵なのか味方なのか、俺には分からない。けれどさっきの人との会話からあなたがあの黒服の連中と繋がりがあるのは間違いないと思う。そうですね?」
「……君は冷静だね。それとも冷静を装っているのか……。まずは、質問に答えよう。察しの通り、先ほどの彼女はファーブル財団の一員だ。この施設の調査にやってきた調査隊のリーダーさ」
「ほら、やっぱり!」
俺はミレイの肩を押さえる。この境という男からあの連中の事を聞きだせるかもしれないと考えたからだ。
「ファーブル財団。それがあの連中の名前なんですね?」
「その通り。その様子だと君達は彼らのことをあまりよく知らないようだね。まぁ末端の人間にまで余計な情報を教える必要なないだろうから、当然の措置と言うべきか……」
ファーブル財団、それがあの黒服の組織の名前。こちらにきたばかりの俺達を襲い、あちこちの任務でそして北海道でも遭遇し、俺達の基地にも侵入した組織。
(けれど、さっきの物言いと言い、この人はそのファーブル財団の人間ではないようだ……。そして、)
「あなたはファーブル財団の人間ではない。そして俺達トラベラーズガーディアンの事を少なからず知っているようにも思える。単刀直入に聞きます。あなたは何者ですか?」
境は俺の方をしばらく見つめた後、やれやれといった苦笑いを浮かべた。
「あなたは何者か?か……。君もトラベラーズガーディアンの人間なら、この世界に異世界から来た人間が多くいることは知っているだろう?……私がその原因を作った男だよ」
続く
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