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第四章 点と点をつないで・16

 リアナの背後に立つ男。スーツにネクタイの上から白衣を羽織り、縁無しののメガネ。その男を、人類初のタイムトラベルに挑戦し、こちらの世界へとやってきた物理学者、境重義だった。

「昔からどうも組織の中で動くのは苦手でね。大学にいたころも学会やら何やらは苦手だったんだよ」
 そう答えながら頭をかく境。
「単独行動ばかりしていると、また帰ったら所長に怒られますよ」
「そうだね、今後はできる限り気をつけるとするよ」
「全然気をつけようと思ってないでしょ?」
「分かるかい?人の性格はそうそう直るものじゃないのさ」
 おどけた顔を見せる境。その表情は研究室にいた当時と変わることはなかった。
「さて、無駄話は置いておいて真面目な話をしようか」
「そうですね。でもまさかここで境先生と話すことになるとは思いませんでしたよ」
「それはお互い様さ」
 先ほどまでの和やかな雰囲気が、張り詰めたような空気に変わりお互いの表情が険しくなる。
「財団の動きはどうなっているんだい?彼らもここへ調査隊を派遣しているくらいだから状況の把握はできているのだろうけど」
「財団の内部では今回の実験の主目的である向こうの世界への転移実験は失敗という認識です。その原因をもっか調査中、この調査隊もその一貫です。それともう1つの目的であったトラベラーズガーディアンでの研究成果の奪取は予定通りに完了、現在解析班に回しているとのことです」
「そうか。転移失敗の原因である仕掛けは私のほうで回収したから、すぐに感づかれることは無いだろう。トラベラーズガーディアン側もスタウト君が上手くやってくれていると信じたいね」
 そう、境と共に研究をしていたメンバーの1人トニー・スタウト。彼もまた境と同じ様にこちらの世界へやってきた後、紆余曲折を経て、トラベラーズガーディアンの開発室長を務めていた。

「私の手で回収しようと思っていた例の仕掛けが施設内に無いのを見たときは驚いたんですからね。スタウトさんの方は上手くいったのでしょうか?なにか連絡は入っていますか?」
「いや、今のところはないね。慎重な性格の彼のことだ、確実に安全な状態になるまでは無闇に連絡はして来ないだろう」
 コントロールタワーの方向を見上げてそう語る境。そしてリアナの方に向きなおし続けた。
「それから、君が一番気になっているだろう親友の彼女だけどね……」
 境の言葉にリアナの表情が変わった。
「リサは、あの子は無事なんですか?まだ連絡が取れなくて、きっと直前まで施設の側にいたのだろうし……」
「それがね……、どうも離脱するのが遅れたか何かアクシデントに巻き込まれたかで……」
 言葉の途中、リアナの顔を見る見る青ざめていく。
「……心配させるような言い方は止めておこう。彼女は無事だよ。少し逃げるのが遅れて転移時の衝撃に巻き込まれ怪我はしているが大したことはないよ」
「そうですか……、良かった……」
 脱力してその場にへたり込むリアナ。ファーブル財団内でのクールな彼女とは対照的な姿だ。
「どうやら一緒に行動していた男の子が彼女をかばったみたいでね。おかげでその彼の方はちょっと重症を負ったみたいなのだがね」
「一緒に行動?リサが?」
「あぁ、彼女曰く『パートナー』だそうだ。彼女が自分自身の判断で選んだのだろうね」
「そうですか……。リサが男の子をパートナーに選ぶなんて、ちょっとその子と会ってみたいかな」
 リサの無事を聞いてリアナは穏やか笑みを浮かべた。


続く
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一言

 あっという間に8月になりましたね。
 夏休みの予定がまだ決まっていないのが悲しいところ。
 実家に戻るつもりなのですが、その間の更新はどうしたものか……。

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Author:おぐれしんじ
東京都で会社人をやっています。
趣味の小説ですが、ひとつよろしくお願いします。