元々体力には自信のない俺だったが、SBT1での任務や特訓で色々やっている間に自分でも信じられないくらい身体能力が向上していた。おかげで急斜面な山道でも割合すんなりと進めるようになっていた。人間やればなんとかなるものだ。
下からだとコントロールタワーしか見えなかったが、この場所にあるのはそれだけではなかった。奥には発電施設そのものも静かに横たわっている。こんな大きな施設が丸ごと北海道から空間を移動してきたなどにわかには信じがたかった。
「それで、遺体の収容は完了したの?」
「あぁ、今やらせているよ。全部で4体。全てトラベラーズガーディアンの奴らみたいだな。大方、施設内を調査中に転移に巻き込まれてお陀仏ってところだろうな。いい気味だぜ」
「……不謹慎ね」
「あぁん、いちいち癪に障る女だなお前は!」
「前からよく私に突っかかってくるけれど、何か恨みでもあるのかしら?私にはそんなつもりはないのだけど」
「さっき言っただろ、癪に障るって。しかも今度からはお前が俺の上役と来たもんだ。ルメール様のお気に入りは出世が早くていいねぇ。ルメール様に何を売り込んでいるのか知らないが、いい気になるんじゃねぇぞ!」
修治達が辿り着いたのと同じころ、発電施設の転移した場所をかぎつけたファーブル財団の調査隊がやってきていた。
調査隊の隊長はアドリアナ・ボニヤ。部隊員としてあのサングラスの男とその部下達もやってきている。
「想像するのは自由だから何も言わないけれど、同じ事をルメール様に聞く度胸があなたにあるのかしら?」
「フン、今に見てやがれよ。誰の差し金で動いてルメール様に取り入ってるのかは知らないが、必ずお前の足元をすくってやるからな」
「なんのことかしら?それよりも、調査は終了したのだから、本部への連絡と撤収の準備を進めてもらえる」
「へ、言われなくても進めてるよ。俺は先に戻るからな。お前はお前で勝手に引き上げろ」
サングラスの男はそう言い残すと自分の部下を引き連れて足早に施設を後にした。
「嫌われたものね。別にどっちでもいいけれど……」
「私の経験上……」
「誰っ!?」不意に背後から聞こえる男の声にリアナは咄嗟に振り返った。
「あの手の男は実に執念深いから本当に気を付けたほうがいいかもしれないね。それに最後の言葉を聞く限り、何かしら君に疑いの目を向けてもいるようだしね」
どこからともなく現れた白衣の男。その姿を見てリアナは一瞬驚いた顔を見せる。そしてホッと胸を撫で下ろし言った。
「まったく、驚かせないで下さい。あと、突然背後から出てきて人を驚かせようとするのも止めてくださいね」
「驚いたのはこっちさ、例の仕掛けを回収しに来てみたら、直後に君達の調査隊が来るんだからね。間一髪と思っていたのだが、調査隊の隊長が君だったのなら要らぬ心配だったな」
「周りに連絡せずにお1人で動くからですよ、境先生」
続く
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