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第三章 別れを呼ぶ北の大地・20

 こちらの世界の日本は世界を3分する3つの勢力、「ユーラシア民主連合」「アメリカ共和国」「ヨーロッパ連邦」のいずれに所属せずに独立国家としての地位を築いていた。 その大きな理由の1つが各国へのエネルギー提供という外交手段にある。北海道から関東にかけての太平洋側には数多くの発電施設が立ち並び、そこで発電された電力は専用のルートを通り各国へと送り届けられる。 こうして日本はエネルギー大国、技術大国として...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・19

「悪い悪い、ちょっとトイレに行きたくなってさ。あぁ、計器の故障とかじゃないから、心配しなくても大丈夫だって泉ちゃん」 謙太郎がバイクに備え付きの通信機で本部の泉と会話をしている。「もう、それならそうと連絡して。2人とも応答しないんだから心配したのよ」「だから悪かったって。ゴメンな泉ちゃん。リサ姐さんにも言っとくからさ……」 泉との通信を終えた謙太郎が疲れた表情でリサの元へ戻ってきた。「泉ちゃんは何て...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・18

「各チームの状況はどうかね?」 SBH2の松山司令がオペレータ席の泉に聞く。「はい、今のところは特に変化はありません。間もなく11回目の定期連絡の時間ですが……」 振り返らすにモニターを見つめたまま答える泉。「今のところ収穫はなしか……。作戦開始から7時間、今日の残りの哨戒時間は3時間ですか……。初日から当たるとは思ってはいなかったけれど退屈なものですなぁ」 松山司令は伸びた顎鬚を触りながらモニターを覗き込む。...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・17

 後ろに跨っていた謙太郎がバイクから飛び降りてリサの顔を覗き込む。するとリサは無言でバイクを降りてヘルメットを外す。 そしてこれまでに謙太郎の前では見せた事のないような表情をして口を開いた。「ねぇ、健太郎君。あなたは今回の作戦おかしいと思わない?」「おかしいと思わないかって聞かれてもなぁ……。確かに調査にしては大げさな気もするけど……」 頭を捻る謙太郎を見てリサは、「そうね、確かに大げさだわ。わざわざ...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・16

 トラベラーズガーディアン北海道支部。通称SBH2司令室に響くのは通信機から聞こえる各部隊からの報告とそれに応答するオペレータの声。「キャロット1より、SBH2へ。ポイントS2をちょうど今通過。現在のところ異常なし。ポイントS3到着予定は40分後、以上通信終わり」「SBH2了解。続いてキャロット5報告どうぞ」「こちらキャロット5保田謙太郎。後10分ほどでポイントN2へ到着。ちょっと寒いけどいい天気だぜ。ドライブには最高だ...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・15

 リサとミレイ、そして泉が部屋に入ってきた。こちらの基地の男達からようやく開放されたらしい。「ちょっと、修治!それから健太郎君もあづさちゃんに言いつけてあげるんだからね!」 泉の頭に角が見えたのは俺の気のせいだろうか、物凄い剣幕でこちらに突っかかってくる。「まぁまぁ泉ちゃん落ち着いて。あんなおじさん達の言う事なんて気にしなくていいんだから。ほら、ミレイも何か言ってあげなさい」 リサに促されてミレイ...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・14

「おい、忍」「あぁ、絶対勝ってリサ姐と」 俺は泉の冷たい視線を感じながらも熱い思いをもってこの戦いに挑む……。「それじゃ、行くわよ!負けた人はその場で腕立て伏せ100回!じゃーんけん……」 --10分後、会場には腕立て伏せの100回の途中で力尽きて倒れた男達と、100回やりきって息を切らす男達の姿。 もちろん俺は100回も腕立て伏せができるはずもなく息も絶え絶えに力尽きたところだ。  忍は最初に出したグーであえなく...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・13

 俺は謙太郎の姿を探すが、どこにも姿が見えない。「さぁな、トイレでも行ってるんじゃないか?」 先ほどから俺の隣にしゃがみ込んでいる忍が興味無さそうに言う。「どうしたの、修治君?キョロキョロしちゃって、泉ちゃんの事探してるのかな?」 気が付くとリサさんがすぐ側にやってきていていた。「そうじゃなくて、謙太郎はどこいったのかなって思って。あいつこういう場では必ず盛り上げようと何かする奴なんだけど……ってな...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・12

「よろしく頼むよ。君の部下達には別の隊へ回すように通達を出しておこう」 そう言い残すとルメールは施設を後にする。「ふぅ。なかなか思った通りには進まないものね。後で報告をしておかないと……」 小さく呟くとアドリアナも部屋を出た。「あの女、ルメール様に益々気に入られやがって頭に来るぜ。だが、ルメール様以外に何を報告するってんだ?まさか、もっと上の連中に取り入ってるのってのか?ちっ、少しあの女の足元でも洗...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・11

「実験の内容が記載されていないようですが?」 1人が上げた質問の声に即座にルメールが答える。「資料に目を通さなかったのかい?我々のミッションは施設の警護だ。行われる実験の内容が何か関係あるのかい?」「いえ……」 質問をした男は言葉を詰まらせる。「といっても、何も知らずに警護をしろと言うのも酷な話だからね。簡単に言うと、人工的に転移反応を発生させる実験だよ。それには多量の電力が必要となる。それで場所が...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・10

「あ、ごめんなさい、室長にまだ言っちゃダメって言われてるんだった……。向こうで司令から話があると思うから、その今のは……」 珍しくあたふたとした様子を見せるあづさ。それを見て忍は軽く笑いながら、「分かった分かった。俺は何も聞いてないよ。でもあづさもそうやって口を滑らせたりすることもあるんだな。なんかあまり喋らないというか、落ち着いているイメージだったからさ」「あ、忍君私のこと、そんな風に見てたんだ!」...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・9

「なんだなんだ、女の子3人で暗い顔しちゃって」 デビットからの話を聞き終えた俺と忍は食堂にやってきた。そこで何やら難しい顔で考え事をしているような3人を見つけ忍が声を掛けた。「……ふ~ん。で、リサさんにどうやってプレゼント渡すかで悩んでるってわけか」 「それなら心配いらないぜ、なぁ修治」 忍が俺のほうを見る。それに頷いた俺を見てミレイが忍に聞く。「心配いらないってどういうこと?」 「簡単さ。実は俺らも...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・8

「ああやってミレイが笑っているとホッとしますよね、司令」 ゆみ子にそう言われてデビットが頷く。「彼女のあの屈託のない笑顔は我々の心の支えといっても差し支えないだろうからね」 ミレイを見送ったデビットは俺と忍のほうを向きなおす。「さて、忍君、修治君少し時間をいいかな?」「ん?そんなにかしこまって、何かあったのかいボス?」 忍がデビットに聞き返す。「リサ君達に北海道に行ってもらっているのはご存知の通り...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・7

「可能性の問題ですよ。科学者という人種は確証があったとしても実証できない限りは可能とは言いません。ファーブル卿こそ、本当に出力不足が原因とお考えで?」 笑みを浮かべ静かに答えるMr.TT。「君には適わないねぇ、まったく。ルメール君、彼にも例の計画の説明を頼むよ」 再び『第2次双方向転移実験計画』について説明するよう促すファーブル。「しかし、計画の話を部外者にするのは……」 躊躇するルメールにファーブルは、...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・6

「遠路はるばるようこそ、Mr.TT。お待たせしてしまって非常に申し訳ない」 深々と頭を下げる男にMr.TTと呼ばれた男は言い返す。「何を仰います。ファーブル財団の当主ともあろうお方が私ごときに頭を下げる必要などありません」 ファーブル財団。それがこの財団の名前であり、現当主レイナルド・ファーブルはその12代目にあたる。「立場など関係ありませんよ。首相との話が長引いてしまい、お待たせしたのはこちらですからね」「...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・5

「そう、それだ。そのトラベラーズガーディアンに極東方面は押さえられていて上手く行ってないという話なのだろう?」「ご心配には及びませんよ。今は彼らには好きなよう動いてもらっているだけです。それにあちらの組織の情報は逐一入ってきますからね。いざとなれば彼らの組織を潰すことくらい訳はありませんよ」 冷たい笑みを浮かる当主の男。「もっとも、この間はとんだヘマをした人間もいたようだけどね、ルメール君」 申し...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・4

 ヨーロッパ帝国。かつてヨーロッパ全域を武力で制圧し、アフリカとロシアの半分、そして中東までをその勢力圏内に置いていたとういうこの世界での歴史上で最大の帝国。隆盛を極め、尚も勢力を拡大しようとしていたその帝国は70年前のある日、突如として帝政を解消。植民地の全てを解放し、ヨーロッパ連邦として生まれ変わった。 この70年前の出来事については諸説あり、各国の歴史研究家が議論を戦わせているがはっきりとした理...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・3

「かもな。そいつが向こうの世界から来たんだとしたら、しばらく何も食べてないかもしれないしな」 俺は犬のほうへ手を伸ばす。差し出された俺の手をペロペロと舐めた。「到着したけど、俺らだけ先にご飯食べたら可哀想かもな。そいつのご飯、売っているか見てくるわ」 駐車場に車を止めた忍がそう言って車から降りる。「忍がご飯持ってくるから、もうしばらく我慢してね」 ミレイが顎を撫でると、犬は甘い声で鳴いた。 しばら...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・2

「キャロット4より、SBT1へ。応答願います」「はい、こちらSBT1司令室。4ってことは修治君ね?愛しの泉ちゃんは今日非番だから、代わりのゆみ子お姉さんでゴメンね」「あぁ、泉なら今日は買い物に行くって言っていましたよ。それじゃ、報告いいですか?」「あら素っ気無い。それじゃ聞きましょうか」 ――俺達がこちらの世界にやってきてから4ヶ月。TSGの研修期間も終わり、皆それぞれにTSGの一員として日々を過ごしている。...

第三章 別れを呼ぶ北の大地・1

 世界が違ってもイギリスは雨の日が多い。間もなく秋を迎えようというこの日も朝から降り続く雨に通りには傘の花が咲き乱れている。 マンチェスターにある、とあるマンションの4階。1人暮らしの女性の部屋にしては殺風景なその部屋には1人の女の姿。短く切りそろえられた銀髪は彼女に中性的な印象を与える。 彼女、尾張の地であのサングラスの男と共にいたアドリアナ・ボニヤは唐突に部屋に鳴り響く電話の音でベッドから身を起...

第二章 秘密の基地は良く知るあそこ・19

「……おーい、俺達もいるの忘れるなよー」 謙太郎の一言でハッと我に返る俺と泉。(いくら2人の前とはいえ、人前で言うには恥ずかしいセリフだったなぁ……)「えっと、じゃあ順番にシャワーでもしましょ。皆汗かいたままでしょ?まずは女の子から、あづさちゃん先行っていいわよ」 ほのかに頬を赤らめてあづさにシャワーをするように促す泉。その勢いに押されてあづさがいそいそと部屋に備え付けのバスルームに入っていく。「覗い...

Appendix

一言

 あっという間に8月になりましたね。
 夏休みの予定がまだ決まっていないのが悲しいところ。
 実家に戻るつもりなのですが、その間の更新はどうしたものか……。

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プロフィール

おぐれしんじ

Author:おぐれしんじ
東京都で会社人をやっています。
趣味の小説ですが、ひとつよろしくお願いします。






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